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おくちでたべるドットコム

昭和大学歯科病院 口腔リハビリテーション科

local_library第25回 唾液と摂食嚥下の関係について

一般的に「つば」と呼ばれている唾液という口の中を常に潤してくれている液体と飲み込み(摂食嚥下)の関係についてご紹介いたします。
唾液は1日に約1.5リットル出ていると言われており、唾液腺という唾液を作っているところから口の中に出されます。唾液は出され方に二種類あり、常に出ている唾液と食事の時に出てくる唾液とがあります。
まず、常に出ている唾液は安静時唾液と言われています。この唾液は口の中を潤し、口の中の細菌が増えないように働いています。また、口の中の粘膜が傷つかないようにもしているのです。

次に食事の時に出てくる唾液です。この唾液は刺激時唾液と言われています。これは主に食事の時に出され、これが摂食嚥下に関わっているのです。私たちは食事をする時に噛んで飲み込んでいます。なぜ噛むかというと唾液と食物が混ざり1つの食塊という飲み込みやすい形を作っているのです。例えば、パンやスナック菓子などのパサパサしているものはそのまま飲み込もうとしてもパサパサしているので口の中の粘膜にはりついてしまい、飲み込みにくかったりします。これを防ぐためによく噛み、唾液と混ぜ1つの湿った塊にし、飲み込みやすくしているのです。また、ご飯などのように口の中でバラバラになってしまうものも唾液とよく混ぜて、喉のあたり(咽頭部)でバラバラにならないような1つの塊にして飲み込みやすくしています。

飲み込みの力(嚥下力)が何らかの原因で弱っていたり、飲み込みの反射が何らかの原因で弱っていたりする人が、よく噛まないで飲み込もうとすると喉のあたり(咽頭部)で食物がバラバラになり、食物が誤って気管に入ってしまって(誤嚥)、肺炎を起こす原因となったり、大きな食物が肺の入口を塞いでしまい、息ができなくなってしまう(窒息)の原因になってしまうことがあるので、よく噛んで食べることが大切です。

唾液には、虫歯から歯を守る役割、アミラーゼという消化酵素により糖を分解する役割、食べ物の中に含まれる味物質と混ざり味を味蕾というセンサーに接触し、味を感じさせる役割、口の中を常に湿らせ乾燥から守り粘膜を傷つけないようにする役割、そして食事時に食べ物と混ざり、食塊という1つのものを作り飲み込みやすくさせている役割があります。

年を重ねると段々と唾液の出が悪くなっていきます。そのような方は食事前に「唾液腺マッサージ」を行ってみてください。唾液腺は大きなものが口の周りに3つあり、耳の前方にある耳下腺、顎の後方にある顎下腺、顎の前方にある舌下腺です。「唾液腺マッサージ」はこれらを刺激して唾液を出させることを目的とします。やり方としては、まず、耳下腺ですが、耳の前方部分の皮膚に手の平を置き、後から前へむかって10回ほどまわします。次に顎下腺ですが、親指を顎のすぐ下方で骨の内側のやわらかい部分にあて後ろの方から顎の中程まで5カ所くらいを順番に各5回ずつ押します。最後に舌下腺ですが、前方の顎の骨の内側を両手の親指で顎の下から上方へ押します。
口の渇きが気になる方は是非、食事の前に行ってみてください。

野末 真司