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昭和大学歯科病院 口腔リハビリテーション科

local_library第23回 嚥下障害の検査法 ~嚥下内視鏡検査~

摂食嚥下障害の検査には特殊な機器を使用する検査方法と使用しない検査方法があります。今回は特殊な機器を用いる検査の1つである、嚥下内視鏡検査について説明します。この検査では、【写真1】のような鼻咽腔ファイバー(軟性鏡)を用います。鼻からこの細い観察用の管を挿入した状態で、食べ物や飲み物を摂取し、嚥下(飲み込み)の観察・評価をする方法です【図1】【写真2】。

【写真1】鼻咽腔ファイバー
鼻咽腔ファイバー
直径約3.5ミリ、長さ約35cmの軟性鏡
手元のレバーを操作して内視鏡の先端を曲げ、飲み込みの状態を観察・評価する

【図1】 内視鏡(赤実線)挿入位置
内視鏡(赤実線)挿入位置
内視鏡の先端を口蓋垂の下方に留め食べ物や飲み物を摂取してもらい嚥下の評価をします。食道は気管より背中側にあり、普段は閉じています。飲み込みの反射が起きると、赤い点線で囲まれた喉頭(喉仏)が上がることで喉頭蓋が後方に倒れて喉頭を覆い、同時に食道の入り口が開いて食べ物が食道へと流れていきます。

【写真2】喉頭を上からみた画像
喉頭を上からみた画像
図1の位置に内視鏡を留めた時の画像です。食道の入り口の少し上方にあるくぼみが梨状窩、喉頭蓋の裏にあるくぼみが喉頭蓋谷で、嚥下障害があると梨状窩や喉頭蓋谷に食べ物がよく貯まります。

嚥下内視鏡検査の利点
咽頭(のど)・喉頭(喉仏)の粘膜を直視できるので、形態の評価や唾液・分泌物の貯留の有無が観察できます。食べる前から咽頭の中が汚れていたり、唾液や分泌物の貯留がある場合は、嚥下機能の低下が考えられます【写真2】。
嚥下造影検査では造影剤が入った特別な検査食が必要ですが、嚥下内視鏡検査では、普段食べている食べ物・飲み物で評価ができるといった利点もあります。また、持ち運びやすく、検査の時間的制約がないため、在宅や施設への往診にも対応可能です。

【写真2】
泡沫状の唾液が貯まっている様子
泡沫状の唾液が貯まっている様子

嚥下内視鏡検査の欠点
内視鏡挿入時、人によっては違和感があります。内視鏡の先端は咽頭の部分にあるため、食べ物を咀嚼する様子や舌の動き、食べ物が食道を通過する様子は観察できません。また、画像が真っ白になるホワイトアウトという現象が起きるため嚥下の瞬間は見えません【写真3】。しかし、ホワイトアウトの有無で咽頭の筋肉がしっかり収縮しているかどうか評価することができます。

【写真3】ホワイトアウト
ホワイトアウト
咽頭の筋肉がしっかり収縮してカメラの先端に接触するためこのような画像になる

嚥下内視鏡検査の評価の実際
それでは嚥下内視鏡検査では実際にどのようなことを評価するのでしょうか。
  • 嚥下前評価
    内視鏡を挿入したら、食べ物を食べる前に咽頭・喉頭・声帯の状態を観察します。形態の異常がないか、唾液・分泌物の貯留がないか、空嚥下(唾液を嚥下)をさせてホワイトアウトが生じるかなどを確認します。
  • 嚥下の評価
    食べ物を摂取し、その様子を評価します。

【写真4】嚥下反射遅延
嚥下反射遅延
喉頭蓋までゼリーが到達しても嚥下反射が起きていない

【写真5】貯留
貯留
喉頭蓋谷に貯留を認める 梨状窩と喉頭蓋谷に貯留を認める

【写真6】誤嚥
誤嚥
気管へ流れ込んでいる様子・気管の方へ流れ込んだ後・ムセ反射で気管から出てきた様子

嚥下内視鏡検査はどこでも行える検査です。最近よくムセたり、飲み込みのことが心配な方は、一度口腔リハビリテーション科までご相談ください。

古屋 七重