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おくちでたべるドットコム

昭和大学歯科病院 口腔リハビリテーション科

local_library第20回 スピーチエイドについて

当科の記事が読売新聞に載りました。YOMIURI ONLINEから転載してご紹介致します。

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口の機能回復(4)空気漏らさず発音改善

東京都世田谷区の女子大生Aさん(19)は以前、話すことが嫌で仕方なかった。
鼻にかかった声で、たとえば「バビブベボ」と言おうとしても、どうしても「マミムメモ」になってしまう。何か話すと何度も聞き返された。授業中に教科書を読んだ時、「はっきりしゃべるように」と教師に注意されたこともある。発音を直したいと、高校2年の3月、昭和大学歯科病院(東京都大田区)の口腔リハビリテーション科を受診した。

バ行の音は、口に封じ込めた空気を破裂させて出す。口は鼻の奥に通じているため、空気を封じ込める時、上あごの奥の軟らかい部分「軟(なん)口蓋(こうがい)」がせり上がり、鼻への通路を塞ぐ。ところがAさんの場合、軟口蓋がよく動かず、息が鼻の方に漏れてしまう。これが、「バ」が「マ」になる原因だった。別の病院での詳しい検査の結果、首の骨の先天的な変形によって神経が圧迫され、軟口蓋がよく上がらないことが分かった。そこで同科が作ったのが、「スピーチエイド」と呼ばれる発音補助装置。上あごにはめるプレートと、やや小さな栓が、針金でつながっている。栓の大きさや位置を調整して、栓の方を口の奥に入れることで、口と鼻の通り道を塞ぐことができる。

スピーチエイドの調整を終えると、Aさんはバ行の音もはっきり言えるようになった。
「今は、これがないと人前に出られない。違和感もないし、積極的にしゃべれるようになった」
スピーチエイドは、先天的に唇やあごが裂けている口唇こうしん口蓋裂こうがいれつ患者の発音障害の治療にも使われる。

口にスピーチエイドを入れるAさん
口にスピーチエイドを入れるAさん

スピーチエイドの仕組み

横浜市の会社員女性Bさん(58)は、幼少時に口唇口蓋裂の手術を受け、外見上は分からなくなった。しかし、軟口蓋の長さや動きが不十分で、発音障害が残った。大学生の時にスピーチエイドの存在を知り、同市内の大学病院で作った。以来、スピーチエイドは生活に欠かせない道具になった。
「命の次に大事なもの。これが壊れたら電話もできず、仕事もできない。死活問題です」と話す。
しかし、スピーチエイドを作ってくれる病院は少ない。Bさんは最初の担当歯科医が病院を去った後、別の病院をインターネットで必死に探し、昭和大歯科病院にたどり着いたという。
同科教授の高橋浩二さんは「大学病院でも、スピーチエイドの豊富な経験を持つ歯学部は少ない。鼻呼吸を妨げずに発音を直すには、コツと経験が必要なのです」と話す。

2011年8月25日 読売新聞