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昭和大学歯科病院 口腔機能リハビリテーション科
高齢者と胃ろうをテーマにお話ししてみようと思います。
当科には飲み込みに関する問い合わせが多く寄せられています。
なかでも最近増えてきたのが“胃ろう”に関することです。
たとえば
『家族が入院中に胃ろうをすすめられたがどうしたらよいか』
『胃ろうをつけたら口から一生食べられなくなってしまうのか』
といった内容です。
『飲み込むことの障害』すなわち嚥下障害は、生命をおびやかす危険性が高いと言われています。なぜならば、肺炎や窒息の大きな要因となるからです。
嚥下障害により、口から十分な栄養や水分をとることができなくなった場合にはどうやって栄養や水分を補給したら良いのでしょうか?
昔と違って今は、口から十分な栄養をとることができなくなった患者さまのために、以下のような様々な栄養摂取の選択肢があります。
しかしながら嚥下障害というものは、胃ろうを作ったからといって口からご飯が食べられるようになるわけではありません。口から飲み込む能力(嚥下能力)を取りもどすためには嚥下リハビリテーションが必要となります。胃ろうなどで十分な栄養と水分を補給し、体力を回復させた上でリハビリを行っていくことになります。
嚥下訓練は、食物を用いない間接的訓練法と、食事を用いての直接的訓練法の2つがあります。一般的に、間接的訓練から開始し、嚥下機能が改善したのちに直接的訓練を開始します。
食事を用いた嚥下訓練が開始されても、口から食べたり飲んだりするだけで十分な栄養と水分を確保することは難しいので、胃ろうなどの(補助栄養療法)が必要となることがあります。嚥下訓練により、十分に口から食べたり飲んだりすることができるようになれば胃ろうを閉じることができます。しかしながら、重い嚥下障害があるとなかなかそこまでいかないというのが現実です。その場合でも、胃ろうから栄養や水分を補充しながら、安全な範囲で口から食べるという選択肢もあります。
次回は胃ろうと終末期についてお話を深めていこうと思っています。
中道 由香