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昭和大学歯科病院 口腔機能リハビリテーション科
主催:口腔リハビリテーション医学講座
昭和大学上條講堂
今回、嚥下障害の臨床と研究において世界的権威であるマイケル・グロハー先生、マイケル・クラリー先生を米国からお招きして特別講演が開催されました。参加者は249名で、余剰金(131,452円)を東日本大震災摂食嚥下支援チームに寄付いたしました。口腔リハビリテーション科では、本年度8月の東日本大震災支援チャリティー講習会と合わせ、東日本大震災摂食嚥下支援活動へ90万円を寄付することが出来ました。来年もいくつかの支援活動を企画しております。立ち上がれニッポン!
講師:マイケル・グロハー先生
米国カリフォルニア州レッドランズ大学 コミュニケーション学科主任教授
〈講演の概要〉
嚥下障害の臨床評価法と食道病変の特徴について最新の知見を踏まえて解説して頂いた。
臨床評価法では、画像検査の重要性、身体的検査法では各脳神経の症状、口腔内の症状(舌の萎縮、口腔乾燥など)、既往歴・現病歴の意義、食事状況の観察などについて解説が行われた。また標準化された臨床検査法としてMASA(Mann Assessment of Swallowing Ability)、MISA(McGill Ingestive Skills Assessment)、FOIS(Functional Oral Intake Scale)、MNA(Mini Nutritional Assessment)について紹介して頂き、また症例も提示していただいた。食道病変の特徴については、狭窄、Web、シャッキー輪、アカラシア、悪性腫瘍、蠕動障害としての強皮症、アルコール障害や糖尿病の影響、逆流性食道炎などをマノメトリーの所見も交えながら解説していただいた。
サイン会風景(グロハー先生は左利きでした)
クラリー先生の講演風景
講師:マイケル・クラリー先生
米国フロリダ大学言語聴覚学科教授
米国フロリダ大学保健学部嚥下研究所所長
成人嚥下障害患者の治療法(予防法・代償法・リハビリテーション)についてEBMに着目しながら解説を行って頂いた。嚥下調整食の問題点、粘性のある液体の効果と問題点、姿勢調製法の効果と問題点、各種嚥下法の効果と問題点を解説して頂いた。口腔筋トレーニング(Oromotor Exercise; OME)、舌負荷運動訓練、Pharyngociseを解説して頂き、体系的な嚥下リハビリテーションプログラムであるMDTP(McNeill Dysphagia Therapy Program)について その効果のEBMを含めて解説していただいた。講演後半は今現在中心に行われている訓練について講演者自身で見せながらの内容であった。
講師:高橋 浩二 先生
昭和大学歯学部口腔リハビリテーション医学講座教授
〈講演の概要〉
次世代のVF・VE検査、入院加療の効果、頭頸部腫瘍術後患者に対する機能回復装置の効果、教育システムについて解説して頂いた。従来のVF・VE検査では臨床現場で摂食嚥下障害に対応する際に重要な情報となる患者の姿勢、体格、意識レベル、表情や意欲、摂食運動、発声、呼吸音、嚥下音、むせなど摂食嚥下機能に関連する様々な生体情報が欠落する。そこで口腔リハ科では検査時状況画像ならびに嚥下時産生音を同時記録し、記録された情報を利用することにより摂食嚥下障害の効率的な対応を実現していることについて紹介して頂いた。また、摂食嚥下障害の訓練法ならびに対応法を短期間に確実に習得させ、習慣化させるために入院下リハビリテーションを行っており、その副次的効果として短期間での摂食レベルの改善を確認していることや、さらに、頭頸部癌術後の口腔機能障害の改善のために各種口腔内装置を積極的に利用するとともに独自の装置を開発し、その効果を定量的に評価していることにもふれ、簡潔に報告して頂いた。
☆講演後、質疑応答では活発な意見交換が行われました。最後はグロハー先生、クラリー先生から高橋教授へのサプライズプレゼントがあり、会場内はかなりの盛り上がりを見せました。 今回、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、言語聴覚士、栄養士、作業療法士、理学療法士等の多職種の方々の参加を頂き、本当にありがとうございました。
報告者 中道由香