homeホーム

menuメニュー

おくちでたべるドットコム

昭和大学歯科病院 口腔機能リハビリテーション科

local_offer昭和歯学会後援セミナーの報告

筋萎縮性側索硬化症の症状と治療:リハビリテーションは有効か?

昭和歯学会後援セミナーの様子

講師:池田 憲 先生
東邦大学医療センター大森病院神経内科 准教授
主催:口腔リハビリテーション医学講座
昭和大学歯科病院第一臨床講堂

今回、東邦大学医療センター大森病院神経内科池田憲准教授をお招きして講演セミナーが開催されました。(参加者約20名)


〈講演の概要〉
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は神経難病の中で最も生命予後が不良な疾患である。遺伝歴のある家族性ALSは5~10%に認められ,大多数を占める個発性ALSの原因は不明である.ALSの予後は,症状の進行は比較的急速で、発症から死亡までの平均期間は約3.5年である.現在の治療としては,ガイドラインでは呼吸管理,栄養管理,リルゾール内服が推奨されているが,根本治療法がないので各患者に見合った対症療法が行われている.

ALSの嚥下障害の対処法には代償的嚥下法がある.ALS患者は咽頭の感覚が保たれ,認知症もないので,代償的嚥下法を修得しやすい.
リハビリテーションに関しては身体や嚥下の運動機能を維持することは必須である.しかし,実際にリハビリテーションのアルゴリズムやエビデンスは未だ存在しないのが現状で,残念ながら骨格筋線維の再生や代償機能が全く見込めないので,嚥下力を増強する積極的リハビリは推奨できない.

病気の進行が遅いと思われる患者の特徴は,1)生き甲斐を持って社会活動をしている. 2)手足を動かす努力(リハビリ)をしている.3)ワープロを始めとして残存している手足の機能を最大限利用して活動されている.4)栄養に気を配り,食べる努力をし,胃瘻により充分な栄養をとっている.5) 生きることの希望を持っている,よって,これらの点を最重要視した嚥下機能を含めた身体リハビリを介して,患者の意欲を改善・維持することが現状での最良なケアと考える.

講演後,現在臨床で抱えている患者のリハビリの方法や,ALSの見分け方など,30分以上にわたり,熱く討論が繰り広げられた。このような難病の患者様を専門に診療されている方にお話をお聞きすることができ、診療の実際,病気の背景や研究の歴史など、深い理解を得ることができ、大きな収穫となった。

報告をPDFで見る ≫

報告者 中道由香