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おくちでたべるドットコム

昭和大学歯科病院 口腔機能リハビリテーション科

local_offer昭和歯学会後援セミナーの報告

東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座 渡邊 裕先生の講演会

平成19年11月19日(月)、東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座の渡邊 裕先生に“肺炎と戦う口腔ケア”のご講演をいただきました。当日は院内のみならず多病院からもご参加頂き、参加者数は58名でした(歯科医師34名、看護師12名、歯科衛生士9名、言語聴覚士2名、理学療法士1名)。講演の内容をご紹介します。

現在の日本の医療・福祉の現場では看護師が先頭に立ち、誤嚥性肺炎の予防を目的とした口腔ケアが積極的に行われている。ほとんどの施設で一日3回口腔ケアが行なわれており、集中治療の現場では、4時間おきに口腔ケアを行なう施設もある。このように日本の看護の中で口腔ケアは標準化し、その目的は誤嚥性肺炎の予防にとどまらず、摂食嚥下機能を中心としたQOLの向上や人工呼吸器関連性肺炎の予防など多岐にわたっている。しかし、実際のところ口腔ケアの定義も確立されていないのが現状であり、その効果についてのエビデンスも十分ではない。今後口腔ケアの定義付けが成され、それに対するエビデンスの構築がなされる必要があるというのが現状なのである。

歯科保健指導の中での口腔のケアは人間の生涯を通じて展開され、それは妊産婦の歯科保健指導から始まり、乳児期の授乳、口腔習癖を通した口腔機能の獲得への援助、乳歯列期から混合歯列期、永久歯列期それぞれの時期の成長発達に合わせた口腔衛生管理・指導と食生活指導、正常な形態、機能獲得への援助、成人期では齲蝕と歯周疾患の予防が中心となる。次の老年期においては成人期からの継続した齲蝕と歯周疾患の予防に加え、口腔機能の回復と維持が中心となり、その中で誤嚥性肺炎の予防が注目されているのである。このようにライフステージを通して口腔のケアにかかわれるのは、かかりつけ歯科だけである。さらに平成20年度からの後期高齢者医療制度の中で、かかりつけ歯科はこれまでの診療所内完結の歯科医療から、在宅を中心とした地域連携の中の歯科医療への転換を求められると同時に、義歯中心の訪問診療から口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションといった口腔機能の維持・管理を中心とした診療も求められてくると思われる。この大きな変革に対応するためには、社会基盤や医療システムの整備だけでなく、卒前、卒後教育の充実も急務と考える。