menuメニュー
昭和大学歯科病院 口腔機能リハビリテーション科
摂食嚥下障害の検査には特殊な機器を使用する検査方法と使用しない検査方法があります。今回は特殊な機器を用いる検査の1つである、嚥下内視鏡検査について説明します。この検査では、【写真1】のような鼻咽腔ファイバー(軟性鏡)を用います。鼻からこの細い観察用の管を挿入した状態で、食べ物や飲み物を摂取し、嚥下(飲み込み)の観察・評価をする方法です【図1】【写真2】。
【写真1】鼻咽腔ファイバー
直径約3.5ミリ、長さ約35cmの軟性鏡
手元のレバーを操作して内視鏡の先端を曲げ、飲み込みの状態を観察・評価する
【図1】 内視鏡(赤実線)挿入位置
内視鏡の先端を口蓋垂の下方に留め食べ物や飲み物を摂取してもらい嚥下の評価をします。食道は気管より背中側にあり、普段は閉じています。飲み込みの反射が起きると、赤い点線で囲まれた喉頭(喉仏)が上がることで喉頭蓋が後方に倒れて喉頭を覆い、同時に食道の入り口が開いて食べ物が食道へと流れていきます。
【写真2】喉頭を上からみた画像
図1の位置に内視鏡を留めた時の画像です。食道の入り口の少し上方にあるくぼみが梨状窩、喉頭蓋の裏にあるくぼみが喉頭蓋谷で、嚥下障害があると梨状窩や喉頭蓋谷に食べ物がよく貯まります。
【写真2】
泡沫状の唾液が貯まっている様子
【写真3】ホワイトアウト
咽頭の筋肉がしっかり収縮してカメラの先端に接触するためこのような画像になる
【写真4】嚥下反射遅延
喉頭蓋までゼリーが到達しても嚥下反射が起きていない
【写真5】貯留
喉頭蓋谷に貯留を認める 梨状窩と喉頭蓋谷に貯留を認める
【写真6】誤嚥
気管へ流れ込んでいる様子・気管の方へ流れ込んだ後・ムセ反射で気管から出てきた様子
嚥下内視鏡検査はどこでも行える検査です。最近よくムセたり、飲み込みのことが心配な方は、一度口腔リハビリテーション科までご相談ください。
古屋 七重