menuメニュー
昭和大学歯科病院 口腔機能リハビリテーション科
睡眠時無呼吸症候群の主症状は「大きないびきと夜間の呼吸停止」「日中の過度な眠気」ですが、過度な眠気によって学業・勤務中の居眠り、注意力・判断力の低下を引き起こします。
日本では、JR西日本の山陽新幹線運転士の居眠り事故によって睡眠時無呼吸症候群が広く知られるようになりました。この事故は800名の乗客を乗せた新幹線が、運転士が眠ったまま時速270kmで8分間走行し、岡山駅100m手前でATC(automatic train control 自動列車制御装置)の作動により停車したというものでした。岡山駅で車掌が揺り起こすまで運転士は熟睡していたとのことで、後にこの運転士が睡眠時無呼吸症候群であることが分かったのです。ATCが正常に作動して列車は停車しましたが、作動していなければ大惨事となっていたかもしれません。このように、日中の過度の眠気は社会的問題を引き起こす危険があるのです。
睡眠時無呼吸症候群や睡眠障害によって起こったとされる事故には次のようなものがあります。
睡眠時無呼吸症候群では健常者の約7倍交通事故を起こしやすいと報告されています。平成14年6月の改正道路交通法では、免許の拒否・保留・取消しまたは停止の対象として重度の睡眠時無呼吸症候群を挙げています。しかし、適切な治療を受ければ再度運転免許の交付を受けることができます。
日中いつも体がだるい、朝起きた時に頭痛がする、寝つけない、夜中に何度も起きる、寝返りを何度もうつ、夜トイレに何度も行く(夜間多尿)、抑うつ気分・意欲低下なども睡眠時無呼吸症候群の症状としてみられることがあります。
「もしかして・・・」と思われた方は、是非一度検査を受けることをお勧めいたします。
平野 薫